昭和の湯けむり旅情。 |
昭和の中頃、仕事に生きてきた男・栄吉は会社を辞め、ひとり旅に出ていた。時を同じくして、長い恋愛に終止符を打った温子もひとり旅に出ていた。
1. 湯治場のタクシー其の壱「タクシー」あてもなく電車を乗り継いだ栄吉は、ひなびた温泉郷の無人駅に降り立った。栄吉は金鳥の看板が鮮やかなタクシーのりばからタクシーに乗り込むと「どこか落ち着ける温泉宿まで」と言った・・・ |
1. 湯治場のタクシー(シークレット分岐「温子編」)其の壱「タクシー」(温子編)無人駅に降り立った温子はひとり取り残されたような気持ちになった。気を取り直して、キンチョールの看板が打ち付けられたタクシー乗り場に向かっていると、買ったばかりの淡いピンク色のワンピースが風になびいた・・・。 |
2. ご記帳願います其の弐「温泉宿」タクシーはひなびた温泉宿の前に停まった。引き戸を開けると、すえた臭いがした。すぐに女将が現れ、奥の部屋に案内された。平日とあって他の客は少ないようだ。旅館に泊まるのは何年ぶりだろう・・・ |
3. どうぞお茶を其の参「部屋」女将が大きな茶びつを持ってきた。象印の花柄のポットから急須に熱いお湯が注がれる。湯気に乗ってお茶の香りが部屋に広がった。熱いお茶が喉を潤していく。お茶請けの饅頭にも手をのばした。ありきたりの温泉饅頭のようだが、栄吉にはとても旨く感じられた・・・ |
3. どうぞお茶を(シークレット分岐「温子編」)其の参「部屋」(温子編)部屋に通された温子は、しばらく広縁に座り、ぼんやりと外の景色を眺めていた。女将が茶びつを持って入ってきた。象印の花柄のポットから急須に熱いお湯が注がれると、香ばしいお茶の香りが部屋に広がった・・・ |
4. 露天風呂へ其の四「浴衣」栄吉は浴衣に着替えた。糊の効いた感触が肌に心地よい。そういえば浴衣に袖を通すのも久しぶりだ。真新しいタオルと一緒に石鹸の箱が置かれていた。ミツワ石鹸だ。息子は今でもあのCMを見ながら歌っているのだろうか・・・ |
4. 露天風呂へ(シークレット分岐「温子編」)其の四「浴衣」(温子編)お茶と饅頭で少し落ち着いた温子は備え付けのタンスを開けた。中には糊の効いた赤い花柄の浴衣がきれいにたたまれていた。その横に真新しい石鹸とタオルが置かれているのを見て、風呂に入ることにした・・・ |
5. ご婦人の身だしなみ其の五「間違い」露天風呂に向かう途中、栄吉は鍵を部屋に忘れた事に気付いた。急いで部屋に戻ると、部屋中に甘い香りが漂っていた。品の良い香水のようだ。広縁に置かれた鏡台には、女物のポーチや化粧品、べっ甲の櫛が置かれている。どうやら部屋を間違えたようだ・・・ |
6. 脱衣所の下駄箱其の六「下駄」自分の部屋の鍵を手に取り、再び栄吉は離れの露天風呂へと向かった。小雨が降り出したので、旅館の和傘を拝借していった。脱衣所の下駄箱には女物のピンク色の靴がきれいに揃えて置かれている。混浴らしい・・・ |
7. 湯煙の向かふに・・・ ※温子入浴前バージョン其の七「露天風呂」脱衣所の引き戸を開けると、熱い湯気に包まれた。視界はほとんどない。慎重に足を進めると、湯煙の向こうに美しい女性のシルエットが浮かんだ。栄吉は動揺した。女性も栄吉の存在に気付いたようだ。栄吉は女性に背を向ける形で体を湯に沈めた。こんな時は何か話した方が良いのだろうか? |
7. 湯煙の向かふに・・・(シークレット分岐「温子編」) ※温子入浴後バージョン其の七「露天風呂」(温子編)露天風呂の扉を開くと真っ白い湯煙が温子を覆った。しばらくすると人の気配を感じた。熱い湯気は視界を完全に遮っていた。「おひとりですか?」人恋しくなっていた温子は思わず話しかけた。 |
電電公社の黒電話。 |
お湯の色だけでなく肌の色も違うんです。 |
タカラ:昭和おもひで温泉
形態:玩浴(おまけ付き入浴剤)
価格:350円(税別)
発売日:2002年11月中旬
(2019/3/23)