TVチューナーカード「Canopus WinDVR PCI
+ アルファデータ AD-TVK501」
クライアント用OSとしても着実にシェアを伸ばしているWindows2000だが、マルチメディア系デバイスの対応はあまり進んでいないらしく、対応するTVチューナーカードやビデオキャプチャーカードはあまり多くない。そんな中、Windows2000上でどうしてもTVを見たい私が使っていたのは、アルファデータのTVチューナーカードTVK501だった。売りの一つであるMPEGキャプチャーはなぜかうまくいかなかったが、純粋にTVを見ることだけが目的だったこともあり、特に不満は感じていなかった。バルクで\6,800という価格を考えると、コストパフォーマンスも悪くない。しかし、あのCanopusからMPEG1/2録画機能付きTVチューナーカードが発売されることを知ると、なぜか、これまでのただTVが見られるだけの環境では満足できなくなってしまった。
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アルファデータの「AD-TVK501」
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Canopusの「WinDVR PCI」
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発売前からネット上で話題になっていたのだが、AKIBA2GOにもあるように、WinDVRのチューナーカードはどこかのOEMらしく、名前からしてTVK501のLowProfile対応版と思われるTVK501LPと見た目がそっくりだ。しかし、TVK501もTVK501LPもハード的に音声多重、FM受信に対応しておらず、リモコンも付属しない点がWinDVRと異なる。WinDVRが実売\15,800、TVK501LP(バルク?)が実売\7,980。ハードに価格差ほどの違いがあるとは思えないが、全く同じハードではないということで、まずは納得しておこう。しかし、なんとなく胸騒ぎがしたので、念のため、チューナーカードを入れ替える前にWinDVRのアプリケーションだけインストールしてみた。すると、あっけなく起動してしまった。
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AD-TVK501で起動するWinDVR
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ハードの仕様上、音声多重ではないが、MPEGキャプチャーもEPGの番組予約もタイムシフトもできた。それもそのはず、Helpを見ると「WinDVRはMicrosoftのDirectShowテクノロジに完全に対応し、WDMに準拠したすべてのテレビチューナーで機能するように設計されています。」と書いてあるではないか。大変良い設計だと思うが、心境は複雑だ。追い打ちをかけるように、このレビューを書いている11月27日付で、infoMagicから「WinDVR
ARENA」のリリースがあった。見た目こそ若干違うが、同じInterVideo社製のWinDVRのソフト単体のパッケージだ。しかも2機種しか載っていない対応チューナの表にはしっかりTVK501の名前があった。あまりに絶妙なタイミングだった。と言うより、まんまと私はCanopusとinfoMagicのトラップにはまったようだ。infoMagicの「WinDVR
ARENA」は定価\6,800。TVK501は定価\12,800。合わせて\19,600。一方Canopusの「WinDVR PCI」は定価\19,800なので、定価なら\200の差しかないが、前述のようにハードが若干違うので、新たに買うなら「WinDVR
PCI」の方がいい。しかし、TVK501かTVK501LPのバルク品が手に入れば、かなりお得になる。もちろん、既にTVK501やその他のWDMドライバで動作するチューナーカードを持っているなら、「WinDVR
ARENA」を買うべきだと思うが・・・。
釈然としない気持ちを抑えつつ、チューナーカードを交換すると、なんと、WinDVRのカードはTVK501と認識され、新たなドライバを要求されなかったのだ。こうなると、WDM準拠云々のレベルではない。ハードウェアレベルの互換性なのだ。釈然としない気持ちは抑えることができなくなってきたが、「ドライバの更新」でなんとか「WinDVR
PCI」のドライバをインストールすることができた。実際に使用してみると、一番重要な画質に関してはやはり違いを見いだすことはできなかったが、音声はステレオなので違いは明確だった。先ほどとは逆の組み合わせで、当然、WinDVRのカードでTVK501用のシンプルなアプリを使うことができるのだが、単にTVが見られるだけではなく、WinDVRではサポートされていないAVIキャプチャーができるようになった。しかし、それはあまりにささやかなメリットだった。
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シンプルなTVK501用アプリ
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逆にWinDVRのカードがTVK501に劣っている点も実はある。これは明らかにLowProfile対応による影響だと思うが、WinDVRのカードには音声入力端子がないのだ。カードに音声入力端子がないと、TVチューナーのアプリから外部入力を制御できないため、TVチューナーの状態に関わらず、外部入力の音が聞こえたりするので不便なのだ。
ついでなので、AD-TVK501とWinDVRの二枚差しも試みた。音声はサウンドカード経由でキャプチャーする以上、さすがに2番組同時にキャプチャーできるとは思えないが、Win95-98時代に、同じマシン上でI-O
DATAのデータ放送対応チューナーGV-BCTV(後継機種)とiomegaのビデオキャプチャーカードBuz(お気軽!Buzの会)が共存していたこともあり、使い分けができるかも知れない。同等の機能のカードを使い分けてもあまり意味はなのだが。とりあえず、2枚のカードはデバイスマネージャ上で正しく認識され、アプリ上でデバイスを選択できるようになった。
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デバイスマネージャでも
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WinDVRのアプリ上でも
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しかし、実際に使ってみようとすると、TVK501の方しか機能せず、WinDVRのカードの方は、エラーこそ出ないものの、画面が真っ暗だった。TVK501のマニュアルを見ると、キャプチャーデバイスが複数ある場合には、TVK501以外のキャプチャーデバイスをデバイスマネージャで無効にするように書いてあった。理由はよく分からないが、こういうものなのかもしれないと早々に断念した。こうしてチューナーカード2枚差しの夢はもろくも崩れ去ったが、まあ、あまり大した問題ではない。
ビデオキャプチャーと言えば、アプリやシステムを不安定にする要因の一つだが、WinDVRに関しては、今のところ極めて安定しており、ハングしたり異常終了したことはない。価格からもわかるように、所詮はCPUに大きく依存するソフトウェアエンコードなのだが、あまりスペックの高くないうちのメインマシン(PentiumIII450MHz×2、384MB
RAM)でも普通品質(VideoCDよりやや上程度)でCPU使用率28%程度と、案外軽快だ。もちろんコマ落ちもない。TMPGEncでじっくりMPEGを生成していたのが嘘のようだ。(画質的にはTMPGEncの方がきれいかも知れないが。)手動でDVDレベルに設定することも可能だが、さすがにうちのメインマシンではカクカクの情けない映像になってしまった。しかし、プリセットで最良レベルとされる640*240、ビデオレート6Mbps、オーディオレート224kbpsでも、コマ落ちなくキャプチャーできてしまった。機会があれば、クロックの高いサブマシン(Celeron533@800MHz)の方でも試してみたいと思う。しかし、TV放送の録画であれば、ソースの解像度が元々高くないので、あまり高解像度で録画することもないとも言える。実際、ハードウェアビデオキャプチャーのVAIO-Rシリーズでも、TVチューナーの解像度がボトルネックになり、TV録画でビットレートを高くしても画質があまりよくならないという話もあるくらいだ。なお、DVDクラスの高画質のソースからキャプチャーするという場合には、素直に別の手段を考えた方がよいだろう。
iEPGによる番組予約は思った以上に便利だ。操作パネルから1クリックでインターネットTVガイドに接続される。うちのインターネット環境がNTT東日本の怠慢により、なかなかFlet'sにならないのが残念だが、インターネット接続中または自動接続であれば、最短4クリック程度で番組予約できる。うちのマシンは24時間運転ではないので、あまり留守録をする機会はなさそうだが、番組予約をしておけば、PCで何か作業に没頭していても、常駐アプリが問答無用で起動してくれるので安心だ。
流行のタイムシフトについては残念ながら今ひとつと言うしかない。なんと言っても起動に時間がかかる。トイレに行く前に設定しても、戻ったときにタイムシフトがスタートしているか微妙なところだ。(うそ)本放送に早送りボタンで追いつくことができないのもつらい。また、FMチューナーアプリもいただけない。こちらはCanopus自社製なのか、インタフェースがTVチューナーの操作パネルと統一感がなく、使い勝手もあまりよくないのが残念なところだ。
このWinDVR、ソフトは基本的にとてもよくできていると思う。正直言って、リアルタイムソフトエンコードがこんなに使えるとは思わなかった。逆にこれ以上の品質を求めるのは無茶というものだ。ハードの方は音声多重に対応している以外は、特に目立ったところはないが、出来のいいこのソフトを生かす汎用的なハードがバンドルされていると考えれば納得のいくパッケージだ。
2000/11/28
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