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結局どうなの?食器洗い機「TOTO ウォッシュアップ2ドアスリム EUD300」

 普段当たり前のように行われているようなことでも、自分が行う立場になって初めてそのつらさがわかることがある。例えば食器洗いだ。そう言えば、学生時代に練馬のフランス料理屋で皿洗いのバイトをしたことはあったのだが、2日でやめたのですっかり忘れていた。あらためて言うまでもないが、時間はかかるし、面白くないし、手は荒れるし、腰は痛くなるしでいいことなしだ。

 そこで、欲しくなったのが食器洗い機だ。食器洗い機には、食器を乾かす機能もあるものも多い。洗うだけではなく、水を切って拭くところまで含まれているのだ。機械にできるような作業は機械に任せて、時間は有効に使いたいものだ。また、手で触れないような高温で洗浄した後、乾かすところまでやってくれるので、とても清潔というメリットもある
 停滞気味の家電業界にあって、めずらしく売れ行き好調な食器洗い機だが、日本での普及率は1割以下と、5割を超えると言われる欧米に比べるとまだまだらしい。これは住宅事情の違いによるものと言われており、実際、日本のキッチンでも置けるような省スペースのものが発売されるようになってから売れ始めた。
 しかし、そもそも食器洗い機がキッチンに置けなかったのは、食器洗い機自体の大きさではなく、多くの家のキッチンが食器洗い機を置くような設計になっていなかったからではないだろうか。いくら家が狭いといってもあんなに大きい洗濯機や冷蔵庫が置けて食器洗い機が置けないわけがない。都市部より住宅事情のよい地方の方が食器洗い機の普及率が高いなんて話もあまり聞かない。欧米の食器洗い機の多くはビルトインだということからもよくわかる。
 つまり、そもそも日本のほとんどの家庭は食器洗い機など必要としていなかったのだ。伝統的日本社会が食器洗い機などを使うことを許していなかったと言った方がいいかもしれない。しかし、近年、食器洗い機が安く小さくお手軽になったために、拒絶するための都合のいい言い訳がなくなってきて、ようやく普及し始めたといったところではないだろうか。もちろん、ライフスタイルの欧米化も影響しているはずだ。キッチンの方も食器洗い機の設置を考慮したものが今後増えていくだろう。と、前置きが非常に長くなってしまった。

TOTO ウォッシュアップ2ドアスリム EUD300

 いざ買おうと思うと、意外にいろんなメーカーから発売されているので迷ってしまう。見た目ならステンレスで覆われているSANYOあたりだったのだが、洗浄時間の短さと容量でTOTOのウォッシュアップ2ドアスリムEUD300を選んだ。家電メーカーがせめぎ合う中、なぜTOTO?と思うところだが、ウォシュレットのあの水の勢いをイメージすれば納得できるだろう。(例えが悪い?)

 設置スペースは50cm×30cm。この程度ならほとんどの家庭でなんとかなるだろう。しかし、電子レンジのようにコンセントさえあればいいというものではないので、ホースの取り回しや高低差などによりいろんな制約が出てくる。

 はじめから食器洗い機用の給水・排水について考慮されていれるキッチンなら問題ないのだが、前述の通り、日本にはそのような家は多くないので、ほとんどの場合、設置には工事が必要となる。
 工事といっても別に大がかりなものでなく、自分でやってしまうこともできる。通常は、既存の水栓から食器洗い機用のホースを分岐させるための分岐水栓というものを使うので、お店に買いに行く前に予めメーカのWeb等で自分の家の水栓に合う分岐水栓をチェックしておいた方がいい。(TOTOは電話かWebの問い合わせフォーム
 私はすっかり自分で工事する気だったのだが、なんとうちの水栓(YANMAR YPK310)に合うタイプはないことが判明した。一瞬絶望感に襲われたが、ここであきらめるわけにはいかない。最悪の場合、水栓を換えればいいし、食器洗い機専用の水栓を付けるという手だってある。しかし、いずれにせよ私はあまりにも門外漢なので、素直に専門家にお任せすることにした。
 ビックカメラの店員さんに相談してみると、工事の見積は無料とのことだったので、とりあえずお願いした。結果は、水栓の変更なら約6万、専用水栓の取り付けなら約4万(工事費込み)。あまりの金額の高さにまたもや絶望感に襲われそうになったが、ここでもあきらめるわけにはいかない。二者択一ならば、見栄え的にも費用的にも専用水栓だ。本体5.5万+工事費4万なら定価+普通の工事費より同じくらいだし、専用水栓の方はこの食器洗い機が壊れた後もこの先ずっと使えるはずだ(引っ越ししない限り・・・)ということでなんとか決断した。

 専用の水栓を付けるとなると、キッチンに穴を空けることになるので抵抗が全くないわけでもなかったが、仕上がりは上々だ。分岐水栓を付けるよりスマートだ(と思いたい)。

食器洗い機専用水栓と排水ホース。
流しの下で分岐する温水管。

 本体を置いてみるとさすがに大きい。まるで「ぬりかべ」だ。しかし、デザインがシンプルなこともあって、すぐに気にならなくなった。
 使い勝手については、買ってすぐにはいいと思えないかも知れない。食器のセットに少し慣れが必要なのだ。手で洗った方が早いと思っても、そこは少し辛抱。毎日使っているうちにすぐに慣れる。

かごはスライド式で取り出しも可。

 このEUD300は上下2段構成で6人分の食器(皿、茶碗、湯飲み等計40点)が入ることになっているのだが、うちで使う2、3人分の食器でも、入れてみるとそんなに余裕があるわけではない。食器が少ない場合には、上段を使わないモードもあるのだが、いつも上下使っている。セッティングや洗い上がりを考えてもやはり、余裕があるに越したことはない。食器のあまりない家なら、そのまま食器棚にしてしまうのも手だ。ちなみに、設置面積は小型のEUD200Rと同じだ。

ある日の下かご。
ある日の上かご。(かなり余裕あり)

 洗浄には、8分、標準(15分)、念入り(34分)の3コースあり、状況に応じて選べるようになっているが、うちではいつも標準コースだ。容量が大きく、何度にも分けて洗う必要がないため、一度セットしてしまえば放っておけばいい。洗浄時間も選択基準の一つではあったが、容量があれば洗浄時間はそれほど気にする必要はないような気がする。

8分、標準、念入りの3コース。

 洗剤は普通の食器洗い洗剤ではなく、専用の洗剤を使う。中でお湯を回しやすくするために泡が立ちにくくなっているらしい。最近では普通のスーパーでも売ってるので、入手に困ることはないだろう。もっとも、洗剤なしでもそれなりに落ちる。あまり知られていないが、クリスタルガラス、アルミ、金箔などは表面が削れるので厳禁だ。

 運転中の騒音は43dB(メーカー公表値)。静かな洗濯機並といったところで、それなりに音はするが、長時間動いているものでもないので、それほど気にすることはないだろう。

 肝心なのは洗い上がりだ。食器洗い機の内部を見ると、本当にこんなので大丈夫なのかと不安になるような作りに見えるが、洗い終わると食器はちゃんときれいになっている。運転中、フタの内側ではさぞや凄まじい状況になっているものと思われる。中が見える機種ならさぞ楽しいだろう。中華料理などの油汚れは得意中の得意で、あのヌルヌル感を2度と味合わなくていいと思うと幸せだ。しつこい汚れは事前に水に浸けておくなどすれば、かなりきれいになる。しかし、さすがに焼き付き、焦げ付き、こびり付きなど頑固な汚れは取れない。

洗剤は下のドアのポケットに。
頼りなく見える回転ノズル。

 気になる電気代はメーカー公表値で1回4.5円(標準コース)。実際、標準コース+送風乾燥をエコワットで測定しても4円か5円だった。この他にガス代、水道代、洗剤代等もかかるわけだが、TOTOによると、それらの費用を合わせても手洗いより年間25,000円もお得という。少し眉唾っぽい気がしないでもないが、いずれにせよ手洗いの手間を含めればその差は歴然とするはずだ。

 実は、EUD300を買ったのは今年の春頃のことで、その後各社から新製品が出たり、TOTOからもつい先日、洗剤なしコースが追加された後継機種EUD310(9月発売)が発表されたりしたのだが、基本性能にはあまり違いがないと思われるので、価格見合いで選ぶといいだろう。

2001/08/07

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TOTO ウォッシュアップ2ドアスリム EUD300
市場価格:\55,000ぐらい(本体のみ:工事費別)

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