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MicroATXケースの新定番?「Cooler Master Silencio 352」

Cooler Master Silencio 352
Cooler Master Silencio 352

 ここ数年、うちの自作PCのケースには、往年のベストセラー「ANTEC SOLO BLACK」を使っていたのだが、あまりにもお粗末なつくりの電源ボタンが壊れてしまったため、PC リモートスイッチでしのぎながら引っ越し先を探していた。気が付くと、中身のマザーボードがATXからMicroATXに入れ替わっていたので、次は小さなMicroATX用ケースにしようと決めていた。しかし、物色し始めるまで気が付かなかったのだが、MicroATX用ケースは思ったほど小さくない。それもそのはず、規格的にATXとMicroATXの差は、長辺が2スロット分の6cm短いだけなので、タワー型なら、背が6cm低くなるだけだ。逆に言うと、それ以上に小さいMicroATXケースにはどこかに無理があるのかもしれない(伏線)。ただでさえ、まともなデザインの少ないPCケースの中で、さらにMicroATXという条件を加えると、選択肢はかなり絞られてしまった。

MicroATXケース大きさ比較
製品名 幅(mm) 高さ(mm) 奥行き(mm) 重さ(Kg)
Cooler Master Silencio 352 200 378 453 4.7
JONSBO U3 208 359 270 2.5
SilverStone SST-PS07 210 374 400 5.2
SilverStone SST-TJ08 210 374 385 5.3
Fractal Design Arc Mini R2 210 405 484 9.0
Fractal Design Define Mini
210 395 490 9.5
NANOXIA Deep Silence 4 200 380 480 7.8
BitFenix PRODIGY-M 250 359 404 9.2
Aerocool Dead Silence 265 381 411 ?
参考)ANTEC SOLO (ATX) 205 430 468 9.2

 この中で最終的に選んだのが、Cooler MasterのSilencio352だ。ポイントは、ATXのSOLOより3辺が小さいこと、自作PCらしくそこそこ拡張性があること、憧れのフロント扉が付いていること、なんとなくデザインが好みだったこと、HDDを縦置きしないこと、それなりに売れていること、あと、フロントのUSBポートやSDカードスロットがアホみたいに口を開けて上に向いていないことなど、意外にたくさん挙がった。

前面
背面
オープンベイは5インチと3.5インチがひとつずつ。
フロントファンのフィルタは取り外し可能。
背面。電源は下置き。
前面ポート
内部
SDカードスロット付き。LEDは青。
中身も黒。たくさん穴が開いてますが・・・。

 重量からわかるように鉄板はあまり厚くない。サイドパネルにモールドを付けるなどして、剛性を上げているようで、ふにゃふにゃ感はない(伏線)が、どっしり感もないので、組み込むパーツによっては微振動が気になるかもしれない。全体的に工作精度は悪くなく、ねじ穴が合わないといったことはなかった。ただし、鉄板が薄いので、あまり締め付けないほうがよいだろう。扉部分は無塗装のプラスチックだが、適度なつや消し黒で、特に安っぽくは見えない。全体的にカクカクしているため、すっきりシャープな印象で、とりあえず外見には満足している。

 内部はベース部分にいくつも穴が開いており、いかにも裏配線できそうな雰囲気だが、ベースとサイドパネルの隙間が狭く、メイン電源ケーブルを裏配線しようものなら、サイドパネルが膨らんでしまいそうだ。ちなみに、サイドパネルのモールドは思ったより浅く、裏配線を助けるようなものではなかった。

 Cooler Masterという社名からして、冷却にはこだわりがあるようで、通気孔とフィルターが至る所に付いている。フロント内側に240mm水冷ラジエータ なども付けられるらしいが、今の私のパーツ構成では全く必要ない。Silencioという製品名からして、静音にもこだわりがありそうだが、サイドパネルやフロント扉の裏の薄めのスポンジがどれほど吸音しているかは甚だ疑問だ。このケースの中で静音に最も貢献しているのは、間違いなくフロント扉であるが、同時に通気を妨げていることも確かであり、なかなかの矛盾を孕んだケースである。

サイドパネルの裏
扉の裏
サイドパネルの裏には吸音スポンジ。
扉の裏にも吸音スポンジ。
上蓋
上部フィルタ
上蓋はプラスチック。
フィルタの取り外しが可能。
底面フィルタ
底面フィルタ
底面にもフィルタが。
スライド式でお掃除らくらく。
リアファン
フロントファン
リアに120mmのファン付き。
フロントにも後部と同じファン付き。下にもうひとつ増設か可。

 一通り確認が終わったところで、いざ組み込み始めると、これまで順風満帆だった我が自作歴最大のトラブルが発生した。なんと、マザーボード(ASUS P8H77-M)とBD-Rドライブ(PIONEER BDR-203)がぶつかって、BD-Rドライブが入り切らないのだ。マザーボード上の突起物以前に、まず右上の固定ネジにぶつかる。BDドライブを目一杯押し込んでも、前に5mmぐらい飛び出し、扉が完全に閉まらない。ちなみにこの事象はメーカー側でも既知のようで、八つ折りのインストレーションガイドに英中二ヵ国語で、MicroATXフルサイズ(横幅244mm)のマザーボードと、奥行き170mm以上の5インチデバイスを入れると、マザーボードの右端が干渉するような注意書きがあった。そもそもの原因は、今流行りの電源下置きのレイアウトだ。従来のように電源が上にあれば、電源の手前にBD-Rドライブが配置されるため、同じ横幅でも問題なく収まる。電源下置きはCPUの上の通気のためのレイアウトだと思われるが、こと小型のケースにおいては、それほどニーズがあるとは思えない。

衝突
MicroATXフルサイズのマザーボードとBDドライブが衝突!

 PCケースの流行はともかく、目の前の問題を解決するには、奥行きの短いドライブに替えるか、幅の狭いマザーボードに替えるか、ドライブ内蔵をあきらめるか、大きいケースに替えるしかない。

 まず、BD-Rドライブはたいてい180mmだが、DVD-Rドライブなら170mmぐらいのもある。また、焼き加減が気にならなければ、マウンタをかましてノート用のスリムドライブを入れるという手もある。

 マザーボードについては、同じMicroATXと言ってもいろいろな大きさがあるので、選択肢はある。横幅がフルサイズマイナス1cm(234mm)以下であれば問題ないだろう。目安として、マザーボードの上辺の取り付け穴が2つならセーフ、3つならアウトだ。

 ドライブ内蔵をあきらめる場合は、外付け用ケースに入れるという手もあるが、5インチの外付けケースは結構高い。使用頻度が高くなければ、裸のままSATA直挿しかeSATA接続という手もある。もちろん、今の時代、光学ドライブを捨て、USBメモリやインターネットで頑張るのもありかもしれない。しかし、そもそも光学ドライブを積まない前提なら、JONSBO U3のようなもっと小さなケースでよかったはずだ。

 大きいケースは、それこそいろいろ選択肢があるが、このケースの処分が大変なので、当分は我慢することとする。

 少し悩んだが、私はマザーボードを替えた。通常なら有り得ないような選択だが、たまたま、Socket1155で、幅が狭くて、スロットが、PCIe x16、PCIe x1、PCIe x1、PCIという、2スロット占有ビデオカードとPCIチューナーカードを使う場合に理想的な配置で、なおかつ安いという奇跡のマザーボード「GIGABYTE B75M-HD3」を見つけたため、このようなことになってしまった。

組込み例
MiniITX並の横幅を誇るMicroATXマザーGIGABYTE B75M-HD3を入れるとスカスカに。
ビデオカードは全長259mmのASUS GTX660-DC2O-2GD5。355mmまで可らしい。
CPUクーラーは、高さ155mmまで可とのこと。

 問題はこれだけではなかった。少なくとも、私が使っているASUS GTX660-DC2O-2GD5では、HDMIケーブルとDisplay Portケーブルが奥まで挿せないのだ。拡張スロットのブラケット用の穴の上部に剛性アップのためと思われる変な折り返しがあり、ここに端子周りの樹脂があたり、奥まで入らないのである。おそらく、他のビデオカードでも、HDMIやDisplay Portを使う場合は同様だろう。幸い私はDVIを使うので当面は問題ないが、由々しき問題である。ここは改善すべきだろう。

 現状での解決策は、DVI-HDMI変換ケーブルかアダプタを使うか、HDMIケーブル側の端子の周りの樹脂を加工するか、ビデオカードを問題ないものに替えるなどが考えられるが、もう腹が立つので忘れることにする。

ブラケット周り
HDMIコネクタとDisplay Portコネクタが奥まで挿せない。

 組み上げてしまうと、何事もなかったような端正な出で立ちで、ファンが2つついている割にはうるさくもなく、そう悪くないものにも思えるが、如何せん上記2点の問題がある以上、よほど外見に惚れ込んだという場合を除いて、あまりお勧めできない。個人的には、PCケース選びの上で、とてもよい経験をしてしまった。

Cooler Master - Silencio 352
発売日:2013年10月18日
店頭小売価格:¥9,980

(2014/1/19)

※本ページの内容は管理人個人の主観的なものであり、内容については一切保証できません。

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