ビデオDSP搭載MPEG2キャプチャーカード「Canopus MTV2000」
昨年6月に発売されたMPEG2キャプチャーカードMTV1000は高画質と安定性で発売当初からなかなか入手できないほどの大人気で、こんな時代にあってCanopusの業績を押し上げるほどだった。しかし、1年も経たないうちに、より高画質を目指した上位機種MTV2000が発表され、既存ユーザの心境は複雑なところだ。とは言っても、MTV2000には、3次元Y/C分離、3Dノイズリダクション、ゴーストリデューサー等、気になる機能満載で、マニアのハートを強く突き動かすのだった。
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さらにビッグに。
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MTV2000のボードは、ただ単に、ドーターカードをMTV1000に載せただけのようにも見えるが、接続されているコネクタはMTV1000上にちょこっと付いているコネクタとは形状もピン数も全く異なるため、今後同じものがMTV1000のオプションとして発売されることはない。
ドーターカードに隠れているMPEG2エンコードチップはMTV1000と同じ松下製MN85560。MPEGエンコード能力自体に変化はないということになる。MTV1000に載っていたPhilipsのA/D変換チップSAA7114Hはなくなっているが、空きパターンが残されており、今後発売されると言われるMTV2000の下位機種(MTV1000と同等?)には搭載されるものと思われる。
Triple3Dというシールの貼ってあるドーターカードの内側にはA/D変換や3次元Y/C分離等を行う松下製MN673794やゴースト低減を行うNEC製D64031AGJが載っており、ここがMTV2000のキモとなる。
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MN85560(松下)と
SAA7114H(Philips)の空きパターン
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MN673794(松下)とD64031AGJ(NEC)
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ハード的な変更は見られるが、ドライバCDはMTV1000ソフトウェアアップグレードキット(「DVD-MovieAlbum
for Canopus」同梱)に付いてきたものと同じで、実際、デバイスマネージャ上でもMTV1000と同じように「MTV Series」として認識されている。つまり、MTV1000もアップグレードキットでソフト的には全く同じになるわけだが、残念ながら、MEDIACRUISEのキャプチャーパラメータの設定で嫌な思いをすることになる。
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デバイスマネージャ上では同じでも(ver.1.10)
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キャプチャパラメータの設定ではこんな仕打ちが・・・。(MTV1000)
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また、コントロールソフトのMEDIACRUISEに新しいコンパクトなスキンが追加されているが、これは既存のMTV1000のユーザでも、サイトからダウンロードできる新しいドライバに含まれている。(ちなみに当サイトオリジナルMTV1000用スキンもMTV2000で使用可。)
基本的な使用感についてはMTV1000と変わらないのでMTV1000のレビューを参考にして頂くとして、肝心の画質はどうだろう。もともとMTV1000自体、かなり画質がよかったこともあり、装着後すぐに違いがよくわからなかったが、よくよく見るとMV1000よりなんとなくクリアな感じだ。
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こんな場面でも
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畳の筋までくっきり。
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しかし、感覚的な評価だけで満足するわけにはいかない。MTV1000とは別のマシンにMTV2000を装着しているので、並べて比べてみた。2台のマシンはハード構成は異なるが、同じアンテナ差込口から分岐しているので、TVの受信状態はほぼ同じと見ていいだろう。Triple3Dの効果を見るにはMPEG化する前の方がわかりやすいと思われるので、チューナー入力の静止画キャプチャーで比較してみた。
比較1(ゴーストあり)
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MTV1000
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MTV2000
(3次元YC分離、ゴースト低減ON)
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うちはTV放送の受信状態が結構良いのでゴーストはあまりないのだが、なんとか撮れたのがこれだ。MTV1000の方も単独で見ればそれほど気にならない画質だが、比べてみるとその違いは思った以上だ。ゴーストはかなり消えているし、文字はくっきりし、表面のザラザラ感もなくなっている。この例の程度ならフィルタをかけてMPEG化してしまうとわからなくなってしまいそうだが、受信状態のよくない環境であれば効果は大きいだろう。
比較2(ゴーストほとんどなし)
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MTV1000
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MTV2000
(3次元YC分離、ゴースト低減ON)
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次に、ノイズの少ない状態で比較してみた。このレベルになると、かえってシャープさが失われるようにも見えなくないので、このあたりは好みの分かれるところだろうが、MPEG圧縮には適していると言える。もっとも、気に入らなければ処理をOFFにすれば済む話だ。ちなみに、TV
Recording Managerの録画予約で、スケジュール毎に処理方法を設定できるなど、細かい気配りも行き届いている。
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録画予約時の画質設定(TV Recording Manager)
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画質を追求するならMTV2000は間違いなくお勧めできるが、問題があるとすればその価格だろう。MTV1000の4万円(発売当初の実売価格)でマヒしてしまい、MTV2000との価格差1万円(現在では1万5千円程度)もその性能を考えると妥当に感じてしまうが、改めて考えてみると実売5万円という価格は個人的にはややつらいところだ。しかし、なかなか納得できるビデオキャプチャーカードに出会えず、いろんな製品を渡り歩いていくことを思えば安い買い物なのかも知れない。
2002/02/24
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